高気密高断熱住宅の上棟 続き
10月になり、爽やかな気候で過ごしやすくなりました。しかし、9月の長雨は大変でしたね。
さて、前回の続きで、高気密高断熱住宅の上棟時に行う作業について書いていきますが、最近、思う事として今の住宅市場において“高気密高断熱住宅”という言葉が、ユーザーの皆様にとっては、以前に増して分かりにくい言葉になった気がします。
この言葉に定義が無い以上、仕方ないのかもしれませんが、一応、ここの記事で“高気密高断熱住宅”という言葉を使う時は、最低限として充填断熱+付加断熱をしていて、かつC値=0.5以下の建物が前提であると思ってください。
それでは、今回は、上棟時の作業で、より細かな内容のものをご紹介いたします。
いずれも、建築基準等では一切触れない内容にはなりますが、実践することで長期的な耐久性や実際の性能に差が出るものと思います。
では、一つ目ですが、屋根通気層、壁通気層に貼られる透湿防水シートのテープ処理です。
画像1枚目のように、シートの継ぎ目にテープ処理を施しています。
住宅の建築現場に馴染みのない方からすると、それがどういう事なのか?あまり、意味が分からないと思います。
実は、この継ぎ目のテープ処理ですが、実践しているビルダーは非常に稀です。恐らく、殆どのビルダーは行っていないでしょう。
それでは、何故、このような作業を行っているのか?それには、もちろん利用があります。
屋根、壁の通気層は基本的に上昇気流が発生しまして、夏場にもなると通気層内の温度は50~60℃ともいわれております。したがって、まぁまぁの熱風が常に土台から屋根の棟に向かって流れており、透湿防水シートの継ぎ目にテープ処理が無い場合は、継ぎ目の隙間から断熱層側へ熱風が入っていく事になります。
熱風が入るという事は、下地材や断熱材にとって、あまり良いとはいえません。熱による劣化の影響もあるでしょうし、そもそも、外部からの水を遮断するために貼っている透湿防水シートですが、隙間から断熱層に水蒸気が入る仕組みにすることはどうなのか?というところです。その水蒸気も結局は劣化に繋がるわけですから。
と、いうことで、少し手間のかかる作業ですが、必ず行うようにしています。
二つ目は、気密シートの先貼りです。2枚目の画像になりますが、これは何かといいますと、筋交いが入る箇所の処理になります。建物の気密は、気密ラインを定めて計画的に施工していきます。本来、気密ラインを理解していれば後手を踏むことはありませんが、理解していなければ何か所も後手を踏む場面がでてきます。
通常、気密シートの施工は、断熱材が入った後から行いますが、筋交いが入る箇所は、工程の問題や、検査機関による中間検査のタイミングの問題で、気密シートを施工する前に筋交いが設置されます。
したがって、その箇所には、前もって気密シートを施工しておく必要があります。順序さえ間違わなければ、至って簡単な作業ですが、この作業を忘れて工事が進んでいくと後から修正することは、非常に面倒で大変な作業となってしまいます。
そして、最後に三つ目です。3枚目の画像のものになりますが、構造材の座彫り部分のウレタンフォーム処理です。
木造住宅の場合ですが、梁や柱といった構造材は部材同士をボルトで結ぶケースがでてきます。そのボルト設置部分は、座彫りして突起させないようにします。しかし、座彫りするという事は、その箇所は、少し空洞になりますので、細かくいうと欠損箇所であります。
あと、ボルトは金属である為、木や断熱材から比べると熱伝導率も高めで熱橋部分にもなります。それは、付加断熱を施していると、あまり影響ないのかもしれませんが、少しの欠損や熱橋も何か所もあれば、全く影響が無いとはいえませんので、このウレタンフォーム処理も必ず行うようにしております。
因みに、この作業は断熱の為に行うものであって、決して、気密の為ではありません。
今回ご紹介しました3点は、何れも細かい内容で実践しているビルダーは決して多くありません。
ただ、こういった作業の積み重ねで、将来的には後悔の無い住まいづくりが出来ると考えておりますので、是非、皆様の参考になれば幸いです。
蘆塚
2026.10




