高気密・高断熱住宅だから

気づけば6月に入っており、もう梅雨の時期ですね。

さて今回は、ビルダーに向けて情報を提供している媒体の記事で、エンドユーザーに住宅を選択(購入、建築)する際に決めてとなる理由を調査したところ、その1位が「高気密・高断熱住宅だから」であったという事なので、その内容について書いていきます。

その記事では、質問(複数回答)の63.1%が「高気密~」を選ばれているようで、今やお家を建てる半数以上の方々が高気密・高断熱を意識されている事になります。

10年前には皆様が全く意識されていなかった項目が1番というのは時代の変化を感じます。

世界中の状況を見れば当たり前とも言える変化ではありますが、こと日本に関しては他の国よりも何週も周回遅れで行政やビルダー側の意識の無さから高気密高断熱化が一向に進んでおりませんでした。

しかし、ここ数年で少しずつ風向きが変わり現在の状況に至っていると思われます。

恐らくあと何年かすると新築される殆どの住宅で今回の調査でいう高気密高断熱というものになっているはずです。

このような変化は非常に喜ばしい事ではありますが、一方で疑問に感じる点もございます。

それは、この調査通りに最近建てられた新築の6割程度が本当に高気密高断熱になっているのか?という事です。

そもそも、日本において高気密高断熱住宅の明確な定義がございませんので何とも判断が出来ない事なのかもしれませんが、私の個人的な感覚ではまだまだ全然なっていないと思います。

海外(ヨーロッパ)並みの性能の住宅は、現時点で見かけるのは、ほんの僅かで一般消費者の方々へ正しい情報が伝わりきっていない感じです。

性能が足りていない住宅であっても、ビルダー側の一方的な「高気密・高断熱住宅です」がまかり通ってしまう状況ですので、以前から何度も申し上げているように一刻も早く適正なレベルでの明確な基準を設けて欲しいですね。

今のままでは、せっかく消費者の方々が興味を持っているのに、ビルダー側が中途半端なものを提供し、その結果、数年後にあの頃の建物は「高気密・高断熱住宅ではなかった」となってしまわないかを非常に心配します。

そういう事態を招かないためにも消費者の方々には正しい情報収集を行って頂きたいです。

蘆塚

2022.06