施工現場を見たことありますか?その3

前々回から施工現場のことを書かせて頂いておりますが、今回も続きの内容になります。

構造見学のタイミングで見ることが出来るか分からないですが、可能であれば見ておきたいポイントを紹介していきます。

一つ目は“屋根の通気”です。外壁の通気は比較的知っている人も多いとおもいます。建物の構造上、断熱層があると基本的には壁体内の水蒸気を逃がす通気層が必要で、これは屋根断熱についても同じことが言えます。ただし、通気層の概念が無かった時代からの名残なのか、コストと手間が掛かる屋根の通気をまともに行っているビルダーは、まだまだ一部のように感じます。

本来は屋根断熱の通気は、画像1枚目のように壁と同じく胴縁(木桟)を用いて通気層を確保すべきかと思われます。

屋根の通気は、軒先部分から棟部分(画像2枚目)へ通気の出入口があってはじめて成り立つものですから、確実に施工したいですね。

続いては、耐力面材での気密処理です。前回は室内側で、気密シートを用いて気密処理を行う内容を書かせて頂きましたが、恐らく、本気で高気密の施工をされているビルダーさんの殆どは、室外側、室内側の両方で気密処理を行っていると思います。

あしづかホームでも常に両方で気密処理を行っておりまして、室外側には柱や梁に黒いパッキン材(画像3枚目)を貼り付けてから耐力面材を施工し、気密の確保を行っております。

では、何故、両方で気密処理を行っているのかといいますと、理由は2つありまして、1つ目は、単純に少しでも隙間をなくしておきたいという事です。気密性能は気密測定するまで正確な値が分かりませんので、施工側の気持ちからすると、あらゆる手を尽くしておかないと、仮に測定結果が予想よりも悪かったりすると凄く悔やまれると思います。耐力面材の箇所は、付加断熱や透湿防水シートの施工が進んでいくと、後から気密処理することは極めて無理がありますから、“出来る時に出来る事を”という考えになっていくのが普通かなと思います。

2つ目は、将来的なリスクを少なくしておきたいという事です。気密性能は最初だけ良ければいいというものではありません。建物を使用する何十年先でも性能が低下しないように造らなければなりません。私の想像ではありますが、気密シートを間違いなく施工出来ていれば、紫外線があたる箇所ではありませんし、そうそう劣化は無いと思われます。又、構造材の木が多少痩せたり反ったりという事も考えられますが、気密シート自体は多少の伸び縮みに対応できますので、木の痩せや反りで気密シートが破けたりすることは考えにくいです。

しかし、何十年も気密性能を低下させない為には保険的な要素も含めて室外側でも気密を確保しておくことは、最初の工事段階であれば比較的簡単に行える作業でありますので、やらない手はないと思います。

基本的に気密処理の施工は、そういう細かな作業の積重ねで結果が伴ってくると考えておりまして、「これ位は大丈夫だろう」では無くて、「少しでも良くしていこう」という想いが結構大切であるように感じます。

以上、施工現場で、可能であれば見ておきたいポイントでした。

蘆塚

2023.07