パッシブハウスの考えで

前回は、パッシブ設計(デザイン)とパッシブハウスは異なるものという内容を書かせて頂きましたが、表現の誤解が無いようにもう少しパッシブハウスに係わる言葉について書かせて頂きます。

※パッシブハウスには明確な定義があると前回書いたのですが、ではその中身は?と疑問を持たれた方は過去に記事でまとめておりますので以下リンクでご確認下さい。

「能登川パッシブハウス(認定申請予定)」 「パッシブハウスのUA値やC値は?」

そもそもパッシブハウスを設計(計画)する際にパッシブ設計(デザイン)というものは必須です。逆にその考えが無ければパッシブハウスにはなっていかないです。

パッシブ設計(デザイン)と断熱・気密の一定以上の躯体性能を持ち、更には換気システム等の設備は省エネ効率に優れたものを組合せていかなければ、パッシブハウスの認定基準をクリアすることは出来ないです。

又、パッシブハウスの認定基準に満たない建物であっても、“エコハウス”や“高気密高断熱住宅”という言葉を使用する建物は、パッシブハウス同様の考えで設計(計画)することが、当たり前であるように思うのですが、どうもそこらへんの扱いが非常にいい加減で曖昧です。

その為、内容が伴わない建物でも簡単にその言葉を使用しているのが、今の日本で一番の問題点じゃないかと思います。

はっきりとした基準を定めないので一部の間違った認識の人や無知な人が、胸を張って間違った発信を行っている。そして、エンドユーザーの方々が、その言葉を信じて間違ったままの建物を建てて暮らしてしまうという事になっているケースが少なくないように感じます。

言葉だけがイメージ先行で広まり中身が伴わない...それは避けたいことで早くこういう環境を変えて、言葉がウソではない中身のあるものにしていきたいですね。

現在の省エネに関する言葉では、決まりの無いものが多くて、きっとエンドユーザーの皆様も何を信じれば良いのか判断が難しいと思います。

例えばパッシブ設計(デザイン)という言葉以外にも“高気密高断熱住宅” “エコハウス” “サスティナブル住宅” “省エネ住宅” などなど他にもまだ出てくるかもしれませんが、言葉だけを聞いているとイメージは凄く良いです。

ただし、この言葉はいずれも現時点では決まりごとが無く実際には真逆の考えの建物であっても“おとがめなし”です。

このような状況をまねいているのは、日本の社会全体の体質に通じているのかもしれませんが、行政や業界の責任も否めないところです。

色々な事をもっとクリアにして日本の住宅レベルを上げていかないと、いつまで経っても訳の分からないカテゴリーのお家が増えていくのですが、皆様はどう思われますか?

蘆塚

2022.02