能登川パッシブハウス(認定申請予定)

前回の続きで、これから建築させて頂くパッシブハウスについて書かせて頂きます。

建設地は滋賀県の東近江市の能登川エリアに位置する住宅街です。

パッシブハウスについて、ご存じの方も多いかもしれませんがパッシブハウスと呼ぶためにはドイツのパッシブハウス研究所が定めた基準をクリアして認定を受ける必要があります。

認定になるか否かは建物竣工後に全ての必要書類提出を経て結果が下されるため、正確に言いますとこれからパッシブハウスを目指しての建築となります。

もちろん、工事を始めるまでにあらかじめ綿密な打合せを行い基準が満たすように設計は致しております。しかし、施工によって例えば気密の処理が上手くいっていない等の事態が起これば基準を満たせなくなるケースがでてくるために我々ビルダー側からしてみると非常に緊張感を持ち施工作業を進める必要がございます。

あしづかホームの場合はパッシブハウス認定を取得するしないを別として普段から厳しい基準を定めて施工を行っているつもりではありますが、それでもちょっとピリつきますね。

では実際にどのような基準のもと建築をしていくのかご紹介します。

エコハウスの性能を表す際にUA値、Q値、C値というもので通常示されると思いますが、パッシブハウスでは、そこに基準はございません。

又、構造に関しても木造、鉄骨、RC造などのしばりも無く、換気システムの方式も第1種でも第3種でも構いません。

では、何で判断するのかといいますと年間暖房需要・年間冷房需要というエネルギー使用量の値になります。年間暖房需要についてはエリア問わずに世界共通15kwh/㎡以下、年間冷房需要につきましては今回の能登川パッシブハウスですと22kwh/㎡以下が条件です。

初めて知る人からすると何の事か意味が分からないかもしれませんが、実は内容が分ってくると非常に明確で理にかなった基準です。

ご参考までにZEH基準、省エネ等級4程度の性能の場合には、どれ位の値になるかをシミュレーションしてみました。気候は滋賀県の場合で建物の間取り、方角は同条件でみております。

・ZEH基準のUA値0.6の場合

 年間暖房需要87.23kwh/㎡ 年間冷房需要34.85/㎡

・省エネ等級4に近いUA値0.85の場合

 年間暖房需要126.56kwh/㎡ 年間冷房需要44.45/㎡

※C値は共に2.0で計算しております

と、ことのような感じで日本の世間一般で悪くないと思われているZEH基準でも年間暖房需要はパッシブハウス基準の約5.8倍と大きくかけ離れております。ただし、年間冷房需要は意外とまだマシなんだなぁというのが率直な感想です。

あと、この計算をしていて感じたことは2021年時点で日本のトップランナー基準と謳われている省エネ等級4の仕様構成は現時点であっても市場の最低に近い安価な材料でも可能な内容です。

正直なところ何もノウハウを持たないド素人でも簡単に出来る仕様に思うのですが、今までこの仕様すら出来ないと言っていた行政の理由は何なのかと改めて考えさせられました。

ZEH基準の仕様に関しましても、省エネ等級4からほんの僅かプラスするだけで達成できることにも少し驚きましたし、本当に行政にはもっと真面目に世の中の為に頑張って頂きたい気持ちです。

今回はこのあたりで終わらせて頂き、次回にもう少しパッシブハウスの事を書かせて頂きます。

蘆塚

2021.11