パッシブ設計とパッシブハウス

2月に入りましたが、冬本番といった感じで寒い日が続きますね。

最近、エンドユーザーの方と話していると“パッシブハウス”という言葉をお聴きする回数が以前より増えたと思います。

それは、社会全体的に少しずつ省エネ住宅に対する関心が増えている証拠なのかもしれませんが、お話をよくよく聞いているとパッシブハウスの意味を勘違いされているケースが結構な割合であります。

意味の間違いとは、その殆どが詳しく聞いていくと“パッシブハウス”のことを“パッシブ設計(パシブデザイン)”の内容で解釈されている感じです。

そして、その勘違いの殆どが業者(ビルダー)側の間違った発信をインプットされているようです。

そもそも、パッシブハウスとはドイツのパッシブハウス研究所が定めた規定に基づき認定を受けた建物であり、はっきりとした定義がございます。

一方のパッシブ設計(パッシブデザイン)は設計手法の1つで、Wikipediaを引用すると以下の説明です。

「パッシブデザインは、暖冷房設備や装置等に依存せず、適切な断熱や日射調整(取得と遮蔽)、通風、蓄熱等、建物そのものの工夫によって、室内環境の快適性の向上を図る。

夏期と冬期では取り組みが異なり、それぞれの季節に応じた建物の熱的性能が求められる。」

記載内容のように、なんとなくの意味は分かりますが明確な基準はございません。

したがって、あまり性能の良し悪しというものが分からない言葉でもあるために、性能が良いとは言えない建物をつくる業者(ビルダー)さんも最近ではこの言葉を使用するケースがあり、さらにはパッシブハウスとの意味も区別できずに建物のネーミングを〇〇パッシブハウスとしている事もあるみたいです。

その事がエンドユーザー様に勘違いさせているのではないかなと思います。

もともとパッシブ設計(パッシブデザイン)という言葉は、内容を理解している者からすると決して紛らわしいものでは無いのですが、今のように以前よりは広く知られていくと、なかなか厄介な言葉になっていくものだと感じてます。

明確な定義が無い故に幅広い解釈で使われてしまう言葉になりますので、断熱性能や気密性能といった部分とも切り離されて都合良い部分だけが表現されてしまいます。

エンドユーザーの皆様には、この辺りの情報を正しくキャッチして頂き本当に快適で環境負荷が少ない住宅に住んで頂きたく思います。

蘆塚

2022.02