改めて耐震性とパッシブハウスの考えが重要

気付けば1月も後半になってしまいました。能登半島地震の被害状況が連日報道されており、改めて本当に地震の怖さを思い知らされており、住宅づくりを職業としている者からすると、本当に色々と考えさせられる事が多いです。

今回の地震の被害状況では、建物倒壊が非常に多く、耐震性能を確保することの大切さがよく分かります。特に地盤の悪い場所では、液状化現象も多く、建物そのものの耐震性能はもちろんですが、地盤への補強工事の重要性も再認識させられました。

これから様々な調査が入ると思いますので、数ヵ月経てば、さらに詳しい内容が判っていくことでしょう。

住宅において耐震性は何よりも優先順位を高くしなければいけないと思います。住宅づくりには、多くの要素が詰まっており、デザインの優先順位が高い人もいれば、設備機器への優先順位が高い人もいます。人それぞれの考え方があるのかもしれませんが、先ずは命を守ることが出来なければ、いくら他の要素に力を注いでも、それは意味をなさなくなってしまいます。

耐震性能には、現在、1、2、3と3段階の等級がありまして3が一番良いとされています。等級1であっても昔から比べると随分良くはなっております。しかし、等級3と比べると、やはり簡単な造りにはなってしまうことは否めませんので、出来る事ならば、等級3を基準に計画したいところです。そこには、数十年間、性能を維持できる耐久性というものもがセットで必要です。

耐震性能に次いで優先させたいのが断熱・気密性能を含む温熱環境であると考えます。災害時には、エネルギー系を含めインフラが機能しないという事が当たり前であると考えておく方が良いと思います。そのエネルギー源が断たれると、当然、暖冷房機器というものが使用できません。

断熱・気密の性能が足りない建物では、すぐに外気温に近づいてしまうために、冬の寒さや夏の暑さを凌ぐことが難しくなります。

それを防ぐためには、断熱・気密性能というものが必要で、併せてパッシブハウスの考えで日射取得、遮蔽というものも取り入れていかなければなりません。断熱等級7レベルで、日射取得もできていれば、今回の地震のように寒い時期にエネルギーを断たれることがあっても、室温を15℃から20℃程度保つことは可能かと考えますので、それだけでも身体への負担は全然違うと思います。

住宅は、人が生活する場ですので、居住する人々の命を守ることをベースにし、そのうえでデザイン性に優れ、設備も充実させていく事が供給する側の役目であると思います。私たちビルダーは、その順番を間違う事だけは、絶対にしてはいけないですし、エンドユーザーの皆様にも、その優先順位の大切さは知っておいて頂きたいです。

蘆塚

2024.01