換気システムと空調 続き

前回の続きで「換気システムと空調」についてです。

今回は、どのような機器や仕様が理想なのかを書かせて頂きます。

先ず、本題の前に確認しておきたいのですが、換気システムや空調といったものは、それらの機器のポテンシャルだけでは100%の実力を発揮することはできません。

では、何が大事になってくるかといいますと、それは環境です。建物の断熱、気密といった躯体性能の高さが必須になり、その性能が無い建物に、物凄く高価で優れたスペックを持つ機器を設置しても思ったように働かず宝の持ち腐れとなってしまいます。

それでは一体どれぐらいの躯体性能が必要なのか?と疑問を持たれると思いますが、本当に快適な空間をつくりたいと思われる場合は以下を参考にして下さい。

換気システムを正常に働かせたいのであれば気密性能はC値で0.5以下が必須です。可能であれば更に上を目指して少しでも良い値にして頂く事でより良い環境へとなっていきます。

気密性能が悪い建物の場合は、換気(排気)口から吸われる空気は窓や壁、天井、床といった直近の漏気箇所より空気が流れるだけで、俗に言うショートサーキットという現象がおこり室内の空気は上手く換気されておりません。

次に空調(冷暖房)を省エネルギーで効率よく使用するには、気密性能に加えて断熱性能が大切になります。

室内の温度は気密性能が悪いと外気が入りやすく、又、室内の温度も外へ逃げてしまいますので換気システム同様の性能が求められます。

更には断熱性能によっても環境は大きく左右され、UA値で表すならば0.3以下にはしたいところです。(本来はUA値だけで判断するものではありません。UA値は建物形状や使用するソフトでも結構な違いがでます)

断熱性能(気密性能が備わっているのが前提)は悪くなればなるほど、当然ですが熱損失が大きく空調機器の能力を大きくする必要がでてきます。又、断熱性能が悪いと温度ムラも出来やすくなるのと、更にはそれらを解消するために温度設定を上げたり、風量を上げたりすることになるので気流感や室内での対流が起こりやすくなり、悪循環が進んでいきます。

そうならない為にも、先ずはしっかりとした躯体性能を確保して「換気システムと空調」がしっかりと働く環境づくりを行ってください。

それでは本題となりますが、先程記載したような環境が整うことで良い機器を選ぶ意味がでてきます。

換気システムは住宅用として“第1種”と“第3種”が主流になり、その選定はケースバイケースなのでどちらが最善とは言い切れないです。

ただし、一般的な住宅で関西エリアであるならば第1種がお薦めです。第1種の場合は熱交換する仕組みになっているものが多くその中でも“顕熱交換”と“全熱交換”というタイプにわかれます。更には“ダクト式”と“ダクトレス”というふうに様々な組合せがある訳ですが、適切な位置に確実な吸排気を行うのならばダクト式を選択することになり、冬場の湿度(乾燥)を意識して選ぶのであれば全熱交換タイプになります。

それらをまとめると理想的な換気システムは“第1種全熱交換ダクト式”という答えになっていきますが、実際に使用する機種はどのようなものが良いのかが分かりにくいですよね?

続いて具体的な機種の内容を紹介させていただこうと思いますが、今回はここまでとさせて頂きまして続きは次回に致します。

それでは、次回もよろしくお願いします。

蘆塚

2022.03