前回からの続きで、もう少し換気設備について

前回のお話の中で、お客様からの質問で全熱交換型の換気システムについて訊かれることがある旨を書かせて頂きましたが、今回も同様に質問されることが多い事柄について書かせて頂きます。

それは「高気密高断熱の建物は冬場に乾燥するみたいですね?」という内容です。

ネットで調べると確かに、そのように書かれている内容のものが幾つかでてきます。

しかし、私の今までの経験上からは、決してそんなことはございません。むしろ、気密断熱性能が低い建物から比べると外気の影響を受けにくい為、湿度がコントロールしやすいと考えております。

では、何故、このような質問がでてきたり、ネットでそういう事が書かれているのか、今まで同業者や建材メーカー担当者などから伺っている情報もふまえて、少し理由を考えてみたいと思います。

思い当たるのは以下です。

1.そもそも建物が高気密高断熱になっていない

実は、このパターンは、そこそこ多いのかと思います。以前からお話ししていますように、高気密高断熱という言葉に決まり(定義)が無いために、それほど性能が良く無い建物までビルダー側が高気密高断熱を謳って建築しているケースがございますので、住人の方は性能が高いと思い込んで生活されていることが有ると思います。しかし、実際には性能があまり良くなくて外気の影響を受けやすい(冬場は低い湿度)状況になっているケースです。

2.換気設備の選定

この事も以前から触れておりますが、住宅で一般的に使用される換気設備には、大きく分けると第1種と第3種の2パターンございます。さらに第1種は全熱(潜熱)と顕熱とに種類が分れます。

その内の第1種の顕熱と第3種は湿度の回収は行いません。湿度の回収を行うのは第1種の全熱(潜熱)のみです。

従って、第1種の全熱(潜熱)以外を選択した場合は、関西においては基本的に加湿器(冬場において)の使用が望ましいと考えます。又、第1種の全熱(潜熱)を選択した場合は加湿器(冬場において)の必要性をあまり感じません。

3.換気や空調の調整方法にあやまり

第1種の全熱(潜熱)を選択されているケースでも冬場に湿度が低くなるといケースも、ちらほら聞きます。この場合に考えられるのは、換気量や空調の風量が大きいという事があります。又、空調の運転方法なども適切でないことがございますので、先ずは各部の調整を見直す必要があると思います。それで改善する可能性はあり得ますのでお試しください。

今回3点書かせて頂きましたが、地域や周辺環境によっても状態が異なる場合もございますので、あくまでも参考程度でお願いします。

あと、いずれも設計上や施工上に誤りがあれば元も子もなくなりますので、その辺りも慎重に検討や確認が必要にはなりますので注意していきたいところです。

蘆塚

2021.05