エコハウスの空調(壁掛エアコン)

今年は6月に梅雨が明けてしまうという、なかなか過去にはないレアケースとなりました。

近年の気象状況を世間では異常気象といいますが、もう異常では無いのかも知れませんね。梅雨時期の変化や、夏の猛暑、局地的な大雨は、もう通常と認識して対策しないといけないのかもしれません。

さて、前回に続きエアコンについての内容を書かせて頂きます。前回は、断熱等級7レベルであるとアメニティタイプのエアコン1台のみで快適な環境が出来るという内容でした。

アメニティタイプを使用する理由としては、区切られた各部屋へエアコンの冷気、暖気を確実に送ることが出来るからですが、間取の構成によっては、一般的な壁掛エアコンでも可能なケースはございます。

それは、どのようなケースかと言いますと、間仕切りの少ない間取りです。例えば、1FはLDKのみで、2Fは寝室とフリースペース+吹抜けみたいな感じで、1Fと2Fとのつながりがあり、かつ、2Fの部屋壁が完全に塞がっていないようなパターンです。

もちろん、このような間取りは、お子様が複数おられたりするご家庭には向きません。どちらかと言えば、ご夫婦のみとか、ご夫婦+お子様1人みたいな比較的少人数の場合に限られるとは思います。

あしづかホームでも、過去に、こういう間取りのお家を建てさせて頂いたことはございますが、温熱環境は非常に良く問題無く全館空調となります。

ただし、このケースで使用する壁掛エアコンは、1Fと2Fに1台ずつ必要になり合計2台です。といっても、2台を同時に運転することは殆ど無くて、1Fのエアコンは冬用(暖房)、2Fのエアコンは夏用(冷房)というふうに使用します。

理由は単純で、暖気は上昇し、冷気は下降するという事からなのです。

この説明をお客様などにすると必ずといって、「この場合、1Fは床下エアコンですか?」という質問がきます。しかし、実際は通常の壁掛け設置で特に変わったことは致しません。

以前にもこの事は申し上げているとは思いますが、断熱性能、気密性能がしっかりと備わっていれば、床から天井までの温度ムラが殆どできません。結局、床下エアコンを採用する建物は、断熱性能や気密性能が足りていないので、それをカバーするために冬場は足元から暖める必要があるからだと思われます。

したがって、間取によっては一般的な壁掛エアコンで快適な環境をつくることは可能です。又、そのような間取りは、換気システムを含めた空調設備のコストを極力抑えたいという場合にもお薦めであります。

アメニティタイプのエアコンでは、換気の給気経路を利用できるために第1種の換気システムを推奨することになります。

しかし、壁掛エアコンでは特に給気経路は必要ではありませんので、第3種の換気システムを採用するという選択肢も生まれます。その事で換気システムのコストダウンも図る事が可能になります。

ただし、懸念点として、熱効率や湿度の事で、第1種の換気システムより多少のデメリットが出来るのでは?と考える方もおられるかもしれません。

しかし、コストダウンを行う為に、質の悪い第1種換気システムを選ぶぐらいならば、質の良い第3種換気システムを選ぶ方が、ストレスなく快適な生活が出来るのではないかと考えております。実際に使用されている方から特に不満の声は聞かないです。

とにかく、エアコンを最適に使用するには、先ずは断熱・気密といった躯体性能を備える事が重要で、エアコンや換気システムという設備は、間取やライフスタイルによって選択肢は変わるという事です。

蘆塚

2025.06

全館空調

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