準防火地域の高性能住宅

前回、準防火地域の窓について書かせて頂いたのですが、今回はその続きとして準防火地域での高性能住宅についてふれてみたいと思います。

高性能住宅というカテゴリーの定義があいまいなので、ここではあえて暖房負荷・冷房負荷がそれぞれ30kwh/㎡以下の建物という事にさせて頂きます。その場合、関西エリアの準防火地域において、先程の値をクリア出来ている建物が極端に少ないように感じております。

別に統計をとった訳では無く明確なデータはございませんが、私が知りうる範囲での事であくまでも主観です。

前回、書かせて頂いたようにトリプルガラス窓の樹脂や木製のもので防火認定品が少ないというのも理由の一つにはなると思いますが、数年前までの高性能な認定品が殆ど無い状態の時でも全国各地には、防火シャッターで対応したり、又、アルミ製で安価な認定品と認定品ではない性能の高い窓を2重にしたりと色々なアイデアで乗り切られているケースはございました。

もちろん、関西でも同じような手段をとって対応されている業者さんがおられることも存じております。しかしながら、絶対数は少ないのです。

この問題、私には何となく設計者、施工者の業者側の問題だけでは無くメーカーや行政側の意識も係わっていると思います。

恐らく皆が「準防火地域やからしゃないやん」と思ってしまっているところが何処かにあって、窓だけに限らず断熱材の厚み(量)、気密処理に至ってもペアガラスの窓に準じてしまっており“バランスとりましたがどうでしょう”みたいになっていませんか?

法律上で準防火地域というものがあり、ルールに沿って建築をしなければならない事は昔から決まっており、別に最近できた法律ではありません。そのエリア内でも快適さを求め、又、省エネルギーで暮らすという考えは当然今後も必要になります。

先ずは、出来ない理由を考えるよりも出来る方法を考え、その方法をどのようにしたら、より簡単にできて、より多くの人々が取入れる事が出来るだろうというふうに、我々実務者も今よりもっともっと努力が必要かと思います。

又、同時に商品を提供するメーカーや、基準をつくり審査、指導する側の行政もいい加減他人事ではなく、もっと積極性をもって協力的に連携して現在から先へのニーズをくみ取って欲しいですね。

そして何よりエンドユーザーの皆様が、本当に快適な空間というものに興味を持って知って頂くという事が必要で、さらには、そういう“高性能住宅の条件を満たした”ものに住みたいと強く願ってもらう事で、業者間の努力や競争も増すことでしょうし、状況や環境が良い方向に進むように感じます。

こういう事を書かせて頂いている私自身が準防火地域内での実績はまだまだこれからですので、今回のきっかけをいただいたタイミングを大事にして、今後にも活かせるよう、しっかりと努めていきたいです。

蘆塚

2020.05

前の記事

準防火地域の窓