断熱等級7とコストパフォーマンス?

前回からの続きになりますが、断熱等級7の話をすると必ず“コスパ”という言葉で断熱等級7に対してネガティブな意見がでてきます。

ただ、この“コスパ”という問題については論点がずれている場合が多いと思っています。何がずれているかと言いますと、“コスパ”の話をされる人は、大体、断熱等級6や5との比較をされます。そして、イニシャルコストとランニングコストを見比べて「6が良い」とか「5が良い」とかの結果に至る訳です。

その比較にどれだけの意味があるのか?そもそも、コストパフォーマンスとは同等の性能や満足度を有するものでないと比較する意味はないのではないでしょうか?

コストの低い方が“コスパ”が良いというのであれば、極論を言うと断熱材の入っていないめちゃくちゃ安価な建物を建てて暑さ寒さは我慢して暮らすのが最高に“コスパ”が良い事になるでしょう。しかし、そういうことでは無いですよね。

断熱等級の7、6、5というのは、文字通り等級分けですから、根本的な性能や満足度がそれぞれ異なって当たり前です。

断熱等級7の建物性能や満足度を理解して、その建物を求める人に対して、断熱等級6の建物を安価で提供できますと言っても、なかなか心に響かないと思います。

しかし、逆に断熱等級6の予算しかない人に対して、断熱等級6の金額で断熱等級7を提供すると言うと凄く喜ぶと思います。それは、誰でも瞬時に得したと分かるからです。パフォーマンスは良くなり、デメリットはありませんから。

これが、はっきりとした答えではないでしょうか?

コストパフォーマンスの比較というものは、あくまでも、同じスペックや満足度を有しているものを公平な条件で行うものであります。例えば同じ条件の建物が、A社では3000万円であるとか、B社では3300万円だといった比較のうえで、はじめてA社のコスパが良いという事が判ります。

ただし、建物の場合は、施工精度や設計ノウハウなど見た目には表れてこない要素も判断基準としてございますので、そのあたりも含めたコストパフォーマンスというものが大事であるとは思います。

蘆塚

2025.06