改めて断熱等級7について考える
今回は、断熱等級7についての内容になります。
そもそも、断熱等級7が、いつ頃できたかといいますと2022年10月です。まだ最近のことで、3年経過しておりません。因みに断熱等級6も同時期にできております。
更にいいますと、断熱等級5は、その半年前の2022年4月にできましたので、それまでは、断熱等級4(滋賀でUA値0.87)が最高等級ということですから、ほんの少し前までは、あり得ないレベルの低さで、日本の住宅は造られていたわけです。
その、断熱等級5~7が出来たことによって、それまでは、あまり耳にしなかった断熱性能について興味を持つ方が増えた事や、また、税制・補助金の要件に断熱等級5以上が組込まれたことなどによって、潮目が変わり、今では新築住宅を建てる際の断熱等級は、5が当たり前になりました。
そう考えると、この3年間というのは、断熱性能向上のスピードが、これまでの何十年間とは比較にならないような感じで進んでいる気がします。
しかし、それでも海外から比べると、まだまだ物足りない内容であります。海外での義務化レベルは、日本よりも、もっと高く設定されており断熱等級7レベルは当たり前に建っている状況です。
また、そもそも、現在の日本で義務化されているのは、あくまでも断熱等級4であり、その義務化された時期は、今年(2025年)の4月からですので、ホントについ最近の話です。
その日本の断熱性能ですが、“どれぐらいの性能が必要か?”という事がよく議論されています。
コストや技術的な要因があるので、そういう話になるのでしょうが、コストと技術的な要因を一旦抜きで考えると、誰がどう考えても断熱等級7が必要になります。
現在、世界中で進められている“脱炭素”の目標値からしても、そうなるでしょうし、近年の異常気象や、災害時でインフラが麻痺した場合を考えてもそうなります。
あと、実際に断熱等級7で建てられた方にしか分からないと思いますが、その温熱環境の良さを知ると、もしも、次に建物を建てる機会があるとして、その時に断熱等級6以下で建てるという選択をしますか?問われると殆どの方は「NO」と答えるはずです。
このように考えていくと、断熱等級6以下では、色々な意味で物足りなさがある事は否めないと思います。
しかし、先程は一旦抜きとした“コストと技術面”という要因が加わると、話は一変して、なかなか難しい問題のような扱いとされてしまい、“コスパがどうのこうの”みたいな展開の話になり、議論は堂々巡りとなっていきます...
そのような感じで、現在の日本で一般化するには、もう少し時間がかかりそうな断熱等級7でありますが、次回も、もう少し、この話題について書かせて頂きますので引き続き宜しくお願い致します。
蘆塚
2025.06