透湿防水シートの選び方

今回も透湿防水シートについてのお話しです。

前回の内容で、なんとなく透湿防水シートの役割はご理解いただいたと思いますが、実際に使用する材料はどういう製品を選ぶべきなのか?又、価格差の違いは何なのか?を考えていきます。

お家づくりを行う際に、表面に見えてくるもの(例えば外壁材)については、皆さん興味を持たれて、色々と検討されると思います。

しかし、お家が完成したら見えない透湿防水シートは、恐らく多くの方が、あまり興味が無くて、製品名すら知らずに施工されているのではないでしょうか?

もちろん、表面に見えてくる外壁材の選定も大事でありますが、建物の耐久性を考えるうえでは、むしろ、下地となる透湿防水シートの選定の方が大事であるかもしれません。

多分、建築関係の仕事をされている方であれば、経験があると思いますが、築年数がある程度経過した建物の外壁をめくってみると、下地の透湿防水シートは外壁材以上に劣化して、ボロボロになっていることが多くあります。

基本、紫外線に晒される訳でも無いのに劣化しています。それは、一体何故なのでしょうか?

よく言われている原因は熱による劣化です。

確かに、外壁は、年中、外気に接していますし、真夏の暑さが厳しい時期は、その熱を受け続けています。立地状況にもよるとは思いますが、真夏の外壁表面温度は50℃とも60℃ともいわれており、その過酷さはよく分かります。

そして、下地となる通気層にも、その熱は伝わり通気層内は外壁同様に熱が籠る事になります。

そういう状況下の中、全ての製品で同じような劣化が起こるのか?となると、決してそうでは無いようです。

先ほど、申し上げたボロボロになっている製品の殆どは国産品の白色のものです。様々なメーカーが販売しておりますが、特徴としては安価であります。何故、国産品はこぞってこうなのか?正確な理由は分かりませんが、これまで耐久性に対して興味を持たなかったニーズがそうさせているのでしょう。

それでは、逆に耐久性を持った製品は有るのか?という疑問がでてくると思います。そういう製品も、もちろん、あります。

しかし、海外製や、もともと海外で商品化されたものになります。やはり、日本とは、そもそもの考え方が違うのでしょうか?

その耐久性があるといわれる製品を紹介させて頂きます。先ず、一般的に、建築業界でよくいわれるのが「最低でもタイベック」です。(タイベック)

タイベックシートも大きく分けると2種類ございまして、“ノーマルのタイベック”(白色)と“タイベックシルバー”です。

ノーマルのタイベックは白色ですが、一般的な国産品の白色よりは、遥かに耐久性があるといわれております。

そして、更に耐久性が高いものが、タイベックシルバーになります。こちらの製品は、あしづかホームでもよく使用しておりますが、とにかく繊維が丈夫です。

その繊維の丈夫さは、結構、施工中にも影響がありまして、シートの取扱いに注意していても、何かが擦れたりすることはでてきます。そういった場合に破けたりするリスクも低いです。このシートの安心感は、実際に手に触れてみないと分からないかもしれませんが、使用していて差は明らかです。

そして、もう一つ、ここ数年で認知が上がっている“ウルトのウートップハイムシールド”です。(ウルト)ご存じの方もおられるかも知れませんが、あの黒いシートです。

ドイツのメーカーで、とことん性能に拘っています。因みにメーカーが発表している耐久試験では、80年相当の性能があるとの事です。

性能面は以前から定評がありまして、こちらも実際に触った感じは非常に厚く、タイベックシルバー以上に丈夫さを感じます。

ただ、その分、高額であることがネックでしたが、近年はメーカー側の努力やニーズが増えたことによって、だいぶ購入しやすい価格にはなりました。

そこで、気になるそれぞれのお値段ですが、ここでは感覚的な事でしかお伝え出来ませんが、ざっくり以下の感じです。

<国産の安価なものと比べて>

・タイベック(ノーマル) 約1.5倍

・タイベックシルバー 約2.5から3倍

・ウルト・ウートップハイムシールド 約2.5から3倍

こんな感じです。いずれも国産の安価なものから比べると大きく値上がりはします。しかし、建物の耐久性を大きく左右する材料でありますので、そのあたりをどう捉えるかで自ずと答えは決まってくると思いますが…

たかがシート、されどシートという事ですね。

蘆塚

2024.11

断熱

前の記事

透湿防水シート