性能数値の基準 答えはありますか?

前回の断熱・気密性能基準についての続きです。

現在の日本では、住宅において断熱・気密又はエネルギー使用量の値で法的な基準が無いとお伝えしました。

では、どういう性能値でお家は建てるのが良いの?という疑問がでてきます。

性能値といいましても、Q値なのかUA値なのか、又、冷暖房需要(負荷)なのか?C値もどうなのか?などと幾つか出てきますが、この値で一番建物性能が分かりやすいのは何かご存じありますか?

それは、冷暖房需要(負荷)になります。あまり聞きなれない言葉になるのかもしれませんが、この値を知っておくと住宅性能について非常に分かりやすく判断がしやすくなります。

冷暖房需要(負荷)は他の数値とは異なり、立地条件(地域、日射取得状況)も大きな要素として含まれますので、土地を選ぶ段階から土地への見方が変わってきます。全く同じ住宅街の中でも接道方向や近隣の建物の建ち方で値が変わる為、土地選定の際に、こういう知識が有るか無いかで選び方も変わってくると思います。

では、その冷暖房需要(負荷)の数値基準ですが、どれ位を理想としたら良いのでしょうか?

理想となると、やはり世界的に厳しいといわれる省エネ基準のパッシブハウスの値になるでしょう。暖房需要(負荷)15kwh/㎡以下、冷房需要(負荷)は地域により異なりますが関西エリアはおよそ20kwh/㎡前後以下になります。ただし、この値は立地条件によっては全然現実的では無いケースも多々ございます。全く同じ仕様(断熱構成、窓)で建てても日射取得状況が悪い場合では、暖房需要(負荷)25kwh/㎡を上回ることもあり得ます。

そういう事をふまえて、あしづかホームでは以前からHPに記載させて頂いております基準として冷暖房需要(負荷)ともに30kwh/㎡以下を目指した家づくりを行っています。

その冷暖房需要(負荷)30kwh/㎡以下の基準を満たそうとすると関西エリアではUA値で0.3、C値は0.5を下回るような断熱、気密レベルにはしなければなりません。

この値をハードル高いな?と思われるかもしれませんが、決してそんなことはありません。これぐらいの性能の建物で生活されている方や普段から身近に体感している方からすると、一度この快適性やエネルギー使用量を知ってしまうと決して譲れない基準になっていると思います。

使用するエネルギー量も少なくなり、快適性も良くなる暮しを知らないのは、もったいないと考えてしまいますが、その基準を知る方法が少ないのも事実としてあります。

私たち実務者は、もっともっとこういう内容を広く知って頂く努力が必要になるでしょうし、エンドユーザーの方々も少しでも良い情報をキャッチしていただきたいです。

できれば、国や各地方の行政がしっかり知識をつけて欲しいという願いはあります。

蘆塚

2019.07

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