窓の性能

前回に引き続き窓のことを書いていきます。

窓の性能が悪いと、良い事は何一つ無いように思います。では、どんな事が考えられるかと言いますと、「暑い寒いの問題」、「騒音の問題」、「躯体への耐久性の問題」...というふうに生活や建物へ直接影響のある重要なものになります。

先ず「暑い寒いの問題」ですが、これには窓フレームの素材やガラスの構成、あとは窓自体の気密性能といった要素で決まるのですが、関西エリアで現在の新築で多く使用されている窓は、アルミ樹脂フレームにペアガラスの仕様かと思われます。

この窓でも、10年前から比べると確実に良くはなっております。しかし、それは過去が悪すぎただけであって、まだまだ性能が足りておりません。実際に窓際では温度差を体感できるレベルです。窓の断熱性能を示すUw値でおおよそ2W/(㎡・K)程度となりますので、木製や樹脂フレームのトリプルガラス窓が1W/(㎡・K)程度であることを考えると、性能は半分です。

そもそも、性能が良いとされている1W/(㎡・K)程度の窓であっても、壁の断熱厚(グラスウールの場合)としてみると50mm程度の断熱性能しかなく、これよりも性能を悪くすることにメリットがあるとは考えにくいです。ですので、木製や樹脂フレームにトリプルガラスの窓がマストになります。

次に「騒音の問題」ですが、断熱性能が高い窓は基本的に外部の騒音を遮断してくれます。理由は気密性能を意識して造られておりまして隙間が少ないという事と、ガラスも3重であり、それに伴いフレームも堅牢な造りで厚みがある為です。

要は断熱気密性能が高ければ、比例して遮音性能も良くなるということです。

最後に「躯体への耐久性の問題」というのは、窓の断熱性能に左右されるものですので、「暑い寒いの問題」と同様の考えになります。

先ほど記載しました通り、窓は壁に比べると断熱性能は劣ります。従って性能が高いとされるUw値が1W/(㎡・K)程度の窓の場合でも、条件さえ整えば冬場に結露する可能性があります。その結露した水が最悪の場合は躯体(木組)へと伝わっていき、躯体が腐り、更にはシロアリが寄ってくるという負のスパイラルとなります。

未だに既存住宅で多く見られるアルミサッシにシングルガラスのような仕様では、本当にリスクが高く、又、これまでの建物は木部に窓が直接設置されているケースも多々見られますので、万が一に窓が結露しても、木部に水が伝わらないようなシート処理が必要になります。

窓の結露は表面的に見えているものだけでは無いという認識はあまり無いと思われますので、注意して頂きたいところです。

今回は窓性能に係わる内容ですが、家づくりは、あらゆる箇所で、こういう細かな施工に対する配慮の有無で耐久性が異なりますので、窓の選択と共に工事中の構造見学も非常に大切であります。

とにかく、窓につきましては、必ず性能の良いものをお選び下さい。10年後には、Uw値が1W/(㎡・K)程度の窓が主流になっているだろうと想像しますので、その時に後悔がないような家づくりであって欲しいです。

蘆塚

2022.11

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