熱橋(ヒートブリッジ)対策 断熱欠損

今回も熱橋(ヒートブリッジ)対策の残り1つ“断熱欠損”について書かせて頂きます。

5.断熱欠損

文字通りで、断熱材が欠けている箇所です。本来、あるべき厚みの断熱が無いという事です。

具体的に、どのようなケースがあるかといいますと、以下が考えられます。

・コンセントボックスが断熱層に入り、その分断熱が削られている

・断熱層に配管類が入ってしまっている(貫通では無く、断面に)

・筋交いが断熱層にあり、その分断熱が削られている

・施工精度の問題で、断熱材の周りに隙間がある、又、予定通りの厚みが確保されていない

よくあるのが、この4点になるかと思います。では、それぞれの対処法を考えてみます。

・コンセントボックスに関して

できるだけ断熱欠損は避けたい考えなので、私の場合は基本的にコンセントボックスや配線が通るスペースを断熱層及び気密シートの室内側に設けます。(断熱材を欠き込まないです)

方法は木の胴縁でクリアランスを確保します。いたってシンプルな考えですが、この方法が間違いないかと思います。この方法が嫌な場合は、設計段階から極力断熱層にはコンセントやスイッチ類は設置しない事です。

・配管類について

水道や電気の配管が断熱層に貫通では無く、横断や縦断している事をたまに見かけますが、これは結構な断熱欠損になります。

ここは、先ず断熱層には、そういうものを入れないように徹底していかなければなりません。

それこそ、設計段階でパイプスペースを確保するなりの計画を行うほかありません。

・筋交いについて

木造住宅の場合は、耐力壁で筋交いを入れることは多々あります。しかし、断熱層に入った場合は、当然、そこそこの欠損にもなりますので、これも設計段階で極力断熱層は避けて計画したいです。

大体は、面材でクリアできることが多いかとは思いますが、どうしても難しいケースもあるかもしれませんので...そう考えると付加断熱は、やはり欠かせなくなっていくのかなと思います。

・施工精度について

これは一番もったいないやつです。先にあげた3点は、設計側の考えを少し変える事で何とかなるものですが、施工精度の問題は、ホントに設計、建築会社、職人さんのいずれもが意識を持っていないと、なかなか解決できません。

せっかく、同じ断熱材を同じ量で現場に入荷しても施工精度の問題で性能が変わってしまう事があります。

それは、柱や梁との間に隙間が出来たり、又、予定通りの厚みが施工されていなかったりというように、人によるミスです。この場合の欠損はホントに無駄な事です。

これは繊維系だとか、ウレタンだとかという問題では無く、あくまでも人の問題です。ここの意識を携わる者が日頃から注意しているか否かが重要であって、材料の選定について論ずる以前のお話しになります。

この問題は、1つの物件に対して携わる人々がチームとなり意思疎通を十分はかることに尽きますが、それには日々の努力が必要です。

断熱欠損について、思いつくことをあげてみましたが、携わる者としまして改めて計画性や意識が大事で、それに加え経験値やこの業界の情報共有も大切なのだと感じます。

蘆塚

2020.02